Japanese Stable CLIP を試してみた

ThinkPad X260 に Arch Linux をインストールしてみる その2 (KDE [Plasma Desktop])

今回はデスクトップ環境を整理していきます。

今回は Wayland を使いたいという目的があるので、Arch らしい軽量なウインドウマネージャーではなく、簡単に済ませたいと思っています。
そうなると、gnome や KDE といったデスクトップ環境がメジャーですが、gnome は Ubuntu で使っていたので、ここは KDE を選んでみたいと思います。

基本的には、公式のドキュメントでほぼ網羅されています。

plasma

KDE をインストールするには、以下のいずれかのパッケージをインストールすれば良さそうです。
・plasma-meta
・plasma
・plasma-desktop

それぞれ微妙に意味が違っていて、以下のようになります。
・plasma-meta = メタパッケージ
・plasma = パッケージグループ
・plasma-desktop = パッケージ

メタパッケージとパッケージは、どちらも基本的には「パッケージ」としての挙動をします。
パッケージをインストールすると、様々なファイルがファイルシステム内に配置されます。このとき、パッケージに「依存関係」を定義することができ、そのパッケージの動作に必要な他のパッケージも一緒にインストールされます。
この依存関係を利用したのがメタパッケージで、メタパッケージ自体はファイルをインストールしません。ただ、メタパッケージの依存関係でインストールしたいパッケージが定義されている (plasma-meta パッケージであれば、KDE の動作に必要なパッケージが依存関係に定義されている) ので、メタパッケージをインストールしようとすると、依存関係に引きずられて各種パッケージがインストールされます。
そのため、メタパッケージに列挙されているパッケージはすべてインストールする必要があり (依存関係がある = インストールに必須)、またメタパッケージを更新することで依存関係が変われば、必要パッケージの増減やバージョンアップもまとめて管理されます。

パッケージグループは、それ自体はパッケージではありません。パッケージには「グループ」というタグがつけられているので、パッケージグループをインストールしようとすると、指定したタグのついているパッケージを探してインストールしてくれます。
ただ、この場合はグループでパッケージを探すことになるので、各パッケージは個別にインストールされる形になります。メタパッケージとは違い依存関係はないので、同じグループ内でもインストールする / しないを選択できます。
そのため、インストール後も各パッケージは個別管理となります。メタパッケージの場合はどれか一つを削除しようとしても、依存関係で削除できなくなりますが、グループの場合は削除可能です。
(先にメタパッケージ自身を削除することで、メタパッケージとともにインストールされたパケージを個別管理にすることも可能なようです)

今回の場合、パッケージである plasma-desktop は、最小限のデスクトップ環境を提供するパッケージとなり、このパッケージは plasma-meta、plasma(グループ) どちらをインストールした場合にも含まれます。
(そのため、plasma-desktop をインストールするのが最小構成となります)

最小構成でもよかったのですが、デスクトップ環境として利用するならいずれはいろいろな機能が必要になると考えて、plasma-meta をインストールすることにします。

メタパッケージとパッケージグループの話は、以下ドキュメントを参考にしました。

なお、wayland が使いたいので、plasma-wayland-session もインストールします。

追加の KDE アプリ

plasma-meta だと本当に最小限のアプリしかありません。追加のアプリは、当然個別のパッケージもありますが、非常に数が多いので、グループやメタパッケージを使用するのが現実的です。グループなら「kde-applications」、メタパッケージなら「kde-applications-meta」が利用できますが、これもまとめてインストールするとフル装備状態。
そこで、もう少し細かい範囲でインストール対象を選びます。kde-applications-meta のパッケージ情報を見てみると、Dependencies にさまざまなメタパッケージが並んでいるのがわかります。

アプリケーションのメタパッケージは、全体の下にアプリケーションの種類ごとのメタパッケージが含まれる形になっているのですね。なので、この種類ごとのメタパッケージをインストールすれば、必要な種類だけ揃えることができそうです。

SDDM (日本語キーボードレイアウト)

ディスプレイマネージャーには SDDM を使用します。

特段の設定は必要ないかと思いますが、キーボードレイアウトが英語 (US) になってしまうので、日本語キーボードを使用する場合は設定が必要です。

日本語のキーボードレイアウトにするには、以下のコマンドで可能でした。
sudo localectl set-x11-keymap jp

日本語キーボードの設定をしても、画面表示は英語のままになっているかもしれません。その場合、パスワード入力エリアにカーソルをあわせ、文字を入力すると日本語の表示に切り替わりました。

Bluetooth

bluez と bluez-utils パッケージをインストールすれば、KDE の設定メニューからコントロール可能です。とりあえずマウスしか試していないので、他になにか使用する機会があったら試してみます。

日本語入力 (fcitx + mozc)

ある意味鬼門。
fcitx か iBus がありますが、fcitx を使うことにします。fcitx はバージョン 5 がでており、これはパッケージが異なります。Arch のドキュメントも別ページになっているので、今回は fcitx5 に沿ってインストールします。


まず、パッケージをインストールします。必要なパッケージは、
fcitx5 fcitx5-mozc fcitx5-qt fcitx5-gtk fcitx5-configtool
です。fcitx5-qt や fcitx5-gtk パッケージを入れておかないと、入力中の文字が表示されないなどの事象が発生します。デスクトップ環境として KDE を使っていても、アプリケーションが GTK の場合もあるので、GTK 用のパッケージも導入します。

続けて、いつもの環境変数を追加するのですが、ユーザーのホームディレクトリにある .bashrc などで export しても fcitx が動作しませんでした。
(正確には、fcitx が起動してタスクバーにアイコンが表示されるのですが、Ctrl+Space を押しても日本語入力にならない)

そこで、システムの環境変数を設定する /etc/environment ファイルに以下内容を追加したところ、正常に動作しました。

GTK_IM_MODULE=fcitx
QT_IM_MODULE=fcitx
XMODIFIERS=@im=fcitx
このファイルは環境変数を定義するためのファイルなので、export をつける必要はありません。

これで日本語入力もできました。
いろいろ試したので何が最終的に必要だったのかを正しく理解していない可能性もありますが、調べた結果としては間違いではないと思っています・・・


最後に、KDE のメニューから「KDE システム設定」から地域の設定>入力メソッドと開きます。
デスクトップ環境でキーボードレイアウトが英語になってしまう場合は、ここを以下の様に設定すると、キーボードレイアウトが日本語になります。

SDDM の設定をしただけでは不十分なようです。この辺は Linux の簡単ではない部分ですね。


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